理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「もう、そろそろエエかなぁ?」

私の躰をバスタブから引き上げ、鼻歌交じりに躰を洗う準備をするイッセイに…

「バ…バブルバスって、バスタブの中で躰、洗えるんだよ?」

無駄だと分かりきっているけれど、ささやかな抵抗を試みる。


「うん、よぉ知っとる。
せやけど…それじゃ、な~んも見えへん」

真顔で、キッパリと断られ、結局はイッセイの思惑通りのなすがまま。


泡で出てくるボディーソープを含んだ、柔らかなスポンジが…

背中をクルクルと回り、腕や足を優しい泡で包み込む。


スポンジから手を離したイッセイは、ボディーソープを、自分の掌に広げ…

背中側から、私の両胸を包み込んで、円を描くようにクルクルと洗いだす。


恥ずかしがる私のコトなんか、気にもしない様子で…

「…自分でできるから…」

という、私の申し出も…

「遠慮しぃな」

と、笑顔でアッサリ却下。


観念してグッと引き寄せられた躰を、イッセイに預けてみたけれど…

下半身へと伸びてきた手を、間一髪のところで掴み、

「そ…そこは、自分で…」

と、やっぱり込み上げてくる羞恥心に耐え切れず、なんとか押し返えそうと抵抗してるのに…

「させるかいな」

そう言って笑ったイッセイは、簡単に私の両手首を一纏めに掴むと、自分の胸に私の躰を後ろから包み込み…

私の中の花弁を、1枚1枚を開くように、丁寧に指が這うから …

「やぁん…あっあっ…」

零れる嬌声が浴室に反響して、羞恥心を煽る。


「アカンなぁ、アヤ」

「???」

「こないにようけ溢れさせとったら、泡が流れてしもて、いつまで経っても洗い終わらへんがな」

「だ…ぁっ…て…ぇ」

イッセイの長くて綺麗な指に翻弄されながら、必死に反論しようと しても、上手く言葉が纏まらない。



「しょうのない子やなぁ。
ほな…」

そう言って指を離すと、躰を起こしてシャワーで 全身の泡を流してくれる艶かしいその手つきに…

新たな刺激を先読みした躰が、ビクリと跳ねる。


バスルームを包む湯気よりも、柔らかな熱を含むイッセイに、のぼせてしまって…

朧げに霞む視界の中…

満足そうに笑うイッセイの笑顔だけが、やけに鮮明に映っていた。
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