理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
何回、イッセイに突き上げられて…

何回、快感の波に飲み込まれて…

何回、イッセイが果てたのかは…

正直、よく覚えていない。


朧気ながら、思い出すのは…

泡だらけの躰を流したシャワーの刺激(快感付き)と…

濡れた躰を、優しく丁寧に拭ってくれたイッセイの手(もちろん快感付き)と…

冷たく冷えたミネラルウォーター(口移しついでのイッセイの深いキス付き)と…

『一晩中』と宣言した、イッセイの言葉通り、一晩中抱き合っていた私達を…

現実に引き戻した、モーニングコール(もうちょっと…っていう、かなりイイトコロだった)…

それくらい。


正確には、ずっと繋がっていたわけじゃなくて…

キスしていた時間の方が、きっと長かったと思う。


手を繋ぐ様に、唇を触れ合わせたまま、色々な会話をして…

下唇を噛むのがクセの私は、時々間違って、イッセイの下唇も噛んでしまったり…

わざとチュッと音を立てながら、可愛いキスをしたり…

ちょっとだけ出した舌先で、唇を割り舐めながら、甘ったるく吸いついたり…

突然激しく奪われたり…

歯の1本1本を、丁寧に舐められたり…

抱き合うこと以上に、見つめ合って、キスすることの方が…

なんだか、大事にされてる気がして、嬉しかった。



仕事で東京に行ってしまうイッセイが、先にシャワーを浴びている間中…

微睡んでニヤニヤしながら、朧気な記憶を辿る。


「疲れたやろ?ゆっくり寝とき。
おやすみ」

イッセイはそう言って、私のおでこにキスを落として浴室へ向かったけれど…

腰が立たない私は、駐車場へ見送りに行くことも出来ないだろうから…

せめて、ここからでも『いってらっしゃい』の言葉と、お見送りくらいはしたい。


そう思っていたのに…

疲れた躰には…

もう…

浴室から聞こえるシャワーの音すら…

子守歌に聞こえていた…

……………
< 112 / 151 >

この作品をシェア

pagetop