理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「下着を外して、これに着替えてね」

手渡されたバスローブは、ふんわり柔らかいコットン。
優しく素肌を包んでくれる。


「こちらへどうぞ」

施術台に横になると、移動式のシャンプー台を寄せて、頭を乗せる。


「まずは顔のクレンジングをして、それから頭皮のクレンジングに入らせてもらいます」

目を閉じて、メイクを落として貰うと、僅かに残っていた緊張感さえ溶けていき、リラックスして、かの子さんの手に躰を預けると、急激に眠気に襲われる。


『寝不足だもんなぁ…』
ぼーっとした頭で考えていると、

「彩ちゃん、眠たい時には、眠ってもかまへんのよ。
ゆっくりリラックスして…」

かの子さんのその声は、まるで催眠術のように私を眠りの世界へと誘った…





「…ちゃん。
彩ちゃん、起きられる?」

かの子さんの声に起こされ、ぼんやりと目を開け…

「ハーブティ、ここに置いておくわね」

「あっ、はい…」

覚醒しない頭で返事をし、躰を起こす。


「私…どれくらい寝てたんでしょうか?」

「そやねぇ、2時間くらいやろか?」

「えっ!?
すっごく躰が軽いので、もっと寝ていたかと思いました」

「躰が軽くなったなら良かったわ。
ぐっすり眠ってはったもんなぁ。
逸晴くんに愛され過ぎてるんやて?」

イタズラっぽくウィンクする、かの子さんに…

「あっ!
…あの…見ました…よね…?」

恐る恐る尋ねると…

「ええ、可愛いハートマークを見せて頂きましたわ」

ニッコリ笑って、頭を下げる。

もう…なんて言って良いかも分からず、顔を赤くして俯くしか出来ない。

「顔を、お上げなさい。
イイオトコが、自分を愛してくれてるだけやないの。
胸を張りこそすれ、俯くコトなんか何もないわ」

バンっと背中を叩かれる。


「愛されてる訳じゃ…」

否定しようとする私を遮って、

「愛されてるに決まってるやないの。
その躰のライン、肌ツヤ、色気…

つまんない男には、一生かかったって醸し出させられない、間違いなく『愛されてるオンナの躰』やわ」

葉子さんは、ビシッと、人差し指で私の躰を指差して、力説してくれた。
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