理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「アヤ…起きて。
おはようさん」

甘く優しい囁き声が、耳に響き…
微睡みながら、ゆっくりと目を開けると…
私の額に自分の額をくっつけた、イッセイのどアップが目に入る。


「寝ぼけまなこ、可愛えぇな。
キスしても構へん?」

「ん」

返事の代わりに、ゆっくりと瞬きをすると…

チュッ

ちゅっ

ちゅ~

っと、沢山の啄む様なキスが降り注ぐ。


「ふふふ」

柔らかいくすぐったさに、笑みをこぼすと…

「目が覚めた?
なら、襲ってもエエかな?」

なんて言い出すから…

「朝っぱらから、何言ってるのよ!」

と、バッチリ覚めてしまった目に、力をこめて抗議すると…

「正式にオファーしたつもりやってんけどな…
なし崩しにされる方が好みやったんか?」

なんて、ケロッとした表情で言う。


「そういうコトじゃなくて…」

「ほな、襲います!!」

ガバッと、のし掛かってくるイッセイをポカポカ叩きながら…

「ちょっと、何してるのよ!」

「宣言通りに実行」

「おバカ」

なんて、遣り取りをして笑いあう。



「笑ったら、お腹すいたね」

クスクスと笑いの余韻に浸りながら、そう言うと…

「ルームサービス頼んどくから、シャワー浴びておいで。
なんなら、一緒に浴びてもエエけど」

という、イッセイのありがた~い(!?)申し出を断って、

「クロワッサンもお願いします」

と言って、バスルームへと向かった。
< 147 / 151 >

この作品をシェア

pagetop