理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
博多から、2時間あまりで到着した京都駅。
駅を出た途端、劇団季節の舞台が隣接していることに驚き、気持ちがヘコむ。
「…こんなに近かったんだね…
地図で見るより、うんと近い。
今夜は、ここでお芝居見るはずだったのにな…」
だんだんと熱くなる涙腺に、首をブンブンと横に振って、涙を振り払う。
『私は、この旅行中、別人になるんだ!』
『思ったことは口にして、嫌なことはガマンしない、相手の顔色を窺ったりしない、自由奔放な女になるんだから!』
『洋介のコトだって、忘れてみせるんだから!』
ぐっと力こぶを作り、宿泊先の京都ブランホテルへと向かった。
けれど…
早速、ホテルのロビーで…
「坂本様。
2名様の御予約でしたが、お連れ様は…?」
と訊ねられ、グラつく心を…
「…仕事で2~3日遅れるみたいです」
引きつった笑顔で嘘をつき、ボーイさんが部屋に案内する間中、突っ込まれやしないかとヒヤヒヤした。
けれど、結局…
案内された部屋にある、2つのベッド…
2人分のアメニティ。
二人のために用意された、一つ一つに涙が込み上げてきて…
夜遊びはおろか…
1歩も部屋を出ないまま、食事も摂らずに泣いて、泣いて、泣いて…
だから…
せっかくの初日の夜だっていうのに、泣き疲れて眠ってしまった。
駅を出た途端、劇団季節の舞台が隣接していることに驚き、気持ちがヘコむ。
「…こんなに近かったんだね…
地図で見るより、うんと近い。
今夜は、ここでお芝居見るはずだったのにな…」
だんだんと熱くなる涙腺に、首をブンブンと横に振って、涙を振り払う。
『私は、この旅行中、別人になるんだ!』
『思ったことは口にして、嫌なことはガマンしない、相手の顔色を窺ったりしない、自由奔放な女になるんだから!』
『洋介のコトだって、忘れてみせるんだから!』
ぐっと力こぶを作り、宿泊先の京都ブランホテルへと向かった。
けれど…
早速、ホテルのロビーで…
「坂本様。
2名様の御予約でしたが、お連れ様は…?」
と訊ねられ、グラつく心を…
「…仕事で2~3日遅れるみたいです」
引きつった笑顔で嘘をつき、ボーイさんが部屋に案内する間中、突っ込まれやしないかとヒヤヒヤした。
けれど、結局…
案内された部屋にある、2つのベッド…
2人分のアメニティ。
二人のために用意された、一つ一つに涙が込み上げてきて…
夜遊びはおろか…
1歩も部屋を出ないまま、食事も摂らずに泣いて、泣いて、泣いて…
だから…
せっかくの初日の夜だっていうのに、泣き疲れて眠ってしまった。