理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
洋介とは地元が同じで、高校3年の夏からの付き合いだ。


水泳部のエースで、俳優のナントカに似てると噂のだった洋介。


芸能人に疎い私は、イマイチよく分からなかったけれど…

適度にチャラくて、女の子にモテるわりに、誰とも付き合ってる様子は無くて、実は、水泳一筋のストイックな男子…

という印象だった彼との馴れ初めは、偶然の積み重ね。


たまたま3年間も同じクラスで…

席替えのクジ引きをする度に、なぜだか必ず隣になるから…

「そういう運命なんだよ」

なんて、冗談めかしてだけれども、何度も言われてるうちに…

なんとなくそういう雰囲気になって、気づけば付き合うようになっていた。


付き合いが長い分、お互いにマンネリ化してるコトに、薄々感づいてはいるけれど…

それが別れに繋がるほど、大きな問題だとも思えないし…

『スキ』だとか『キライ』だとか、はっきりした言葉にしなくても成り立つ、大人の男女関係なんだって納得してるし…

地元を離れて県外で暮らす者同士、同郷の居心地の良さも感じている。


だから…

例えマンネリだとしても、これが平凡な私にお似合いの、平凡な恋愛なんだと思う。


全身で恋をするような、蒼い青春時代は終わったんだろうし…

恥も何もかも棄てられる様な恋にのめり込めるのは、きっと…

ドラマや小説みたいな、想像の世界だけのコト。


だから私は…

平凡でいいから、このまま洋介と穏やかな日々を過ごして…

20代の内に結婚して…

子供は2人位で…

おじいちゃん&おばあちゃんになるまで一緒に…

なんて、高望みしない、平凡な未来を夢見てるんだ。
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