理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
壊れ物を扱うように、優しく触れる掌と…

決して強引ではないけれど、ハッキリと存在感を主張する指先。


「…ゴメンね。
…ちっちゃくて」

決して大きくない胸は、コンプレックス。


寄せて上げる、力強い味方である戦友(ブラ)を失った今、あまりにも心もとない。


「ははっ。
掌に包めるサイズは、標準や。

大きさより、柔らかさ。柔らかさの為の感度やしな」

「柔らかさ?
感度?」

「せや。緊張がほぐれて、リラックスしてくれれば、筋肉も緩む。

そうすれば、胸だけや無うて、全身が吸い着くような柔らかい肌になるわ」

にっこり笑うイッセイに…

確かに緊張も忘れて、委ねきっていたコトに気付く。


「余計なコトは考えんと…
俺だけを見て、もっと感じて?」

イッセイの真っ直ぐな視線の魔法にかけられて、コクリと頷く。



「ご褒美」


そう言って、優しく、妖しい笑顔を見せたイッセイに…

硬い蕾を口に含み…

味わうように転がされる。


円を描きながら登りつめ…

弱い甘噛みが、強い刺激を与え…

裾野から一気に駆け上がり…

弾かれる刺激に反り返り…

蕾を丘に埋め込まれ…

キツく噛んで、引きずり出され…

痛みに悲鳴をあげたいのに…

捕らえて離さない歯列の奥の舌先が…

甘い快感を与え続けるから…

結局、唇から漏れるのは嬌声だけ。


自分の唇から漏れる声どころか、呼吸までもイッセイにコントロールされてるかのように…

捻り上げられ…

撫で回され…

爪で弾かれ…

突然、舐められ…

躰中に広がる、バラバラの刺激を与えられるたび、何も考えられなくなる。


優しく舌が這い回り…

所々でチュッと音を立てたり…

甘い痛みを伴いながら…

たくさんのキスマークで体を彩る。


イッセイの唇が移動する度に…

くすぐったい様な、気持ちいい様な…

不思議な甘い痺れが、腰骨に響く。


次の予想も、心の準備も出来なくて…

結局、私に出来るのは、嬌声を零すコトだけ。



ふいに、私を跨いでいたイッセイの右足が…

私の膝を割って入る。


以前なら、怯えて身構えていたその行為だけれど…

すっかり快感を知ってしまった躰は、もっと強い刺激を求めて…

近づいては、遠のく、快感と期待感に疲れて…

思い切って、イッセイの手首を掴む。


「お願い…
ちゃんと…」

『恥ずかしさで、言葉に出来ない気持ちを汲み取って…』

そう願いを込めて…

快感と、もどかしさの狭間で、潤んだ瞳で見つめたけれど…

返ってきたのは、あのニヤリとした…

悪くて妖しい笑顔だった。
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