理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
レースの刺繍部分に惹かれて買った下着は、溢れる蜜を吸って、もはや体をなしてはいない。

掌や指先は、自由に内腿を泳いで…

緩くて甘い刺激をもたらす。


イッセイの長くて綺麗な指が…

私に与えてくれる、繰り返される甘い刺激を…

目を閉じたまま、受け入れていると…

チュッっと、おでこにリップ音が響く。


「目ぇ開けて。
ちゃんと俺のコト見とき。
今、アヤを抱いてる男が俺やて感じて」

切なさを映した瞳で見つめてくる、イッセイ。


「ちゃんと…わかってる…

イッセイだって…わかってる…」

ただ、必死に声を上げて…

イッセイのシャツの胸元にしがみつく。


熱に潤む泉に潜り込んだ…

長くて綺麗な指から繰り広げられる、初めての感覚に…

「ああっっっ…
ダメダメダメダメダメ…
やだ、いや、やめて」

しがみつく腕に力を込めて、首をぶんぶんと振る。


さすがに本気の抵抗だと気づいたイッセイが…

「どないしたん?」

額に張り付いた髪を梳き…

労るように、優しく見つめる。


イッセイと目が合う、ただそれだけで…

愛しい切なさが込み上げる。


「怖いの…」

「怖い?何がや?」

「何か…来そうなの…

快感に…飲み込まれてしまいそうなのが…怖いの…

でも…止められたら辛いの…」

涙目で気持ちを言葉にすれば…

驚いたように目を見開いていたイッセイの顔が、優しい微笑みへと変わり…

「俺に捕まっとき。
安心して、身を任せて大丈夫やから」

そう言って…

生まれて初めて見る、真っ白な世界まで…

私を運んで行った。
< 55 / 151 >

この作品をシェア

pagetop