理想の瞳を持つオトコ ～side·彩～

「後悔してんのんか？」

突然…

足元から低く響く声にビクリとして、飛び起きてその姿を確認する


「な…んで………？」

『なんでココにいるの？』と聞きたかったけれど、しゃくりあげて言葉が続かない。


「なんでって…泣いてるからに決まってるからやろ。

泣くほど俺に抱かれたんを、後悔してるんか？」

セツナく歪む、イッセイの顔。


「違う。嬉しかったよ。
私、イッセイに抱かれて嬉しかった。

でも…
姿が見えないから、帰ったんだと思って…」

そこまで言うと、ベッドに乗り上げてきたイッセイに、ギュッと強く抱きしめられる。


イッセイは、私の後頭部を何度も撫でながら、強く、強く、抱きしめてくれる。


「イッセイ…？」

名前を呼ぶと、ゆっくりと躰を離し、私の肩に額を乗せながら

「…良かった」

と、呟く。


「…良かった？」

「せや、ホンマ良かった。

ベッドの上で鳴かしたハズの女が、後悔の泣き声なんか上げてたりしたら、後味悪いしなぁ」

と言われてみて初めて…

私のしたコトは、一夜の関係ではルール違反をだったのかもしれないと、

「ごめんなさい」

それ以外の言葉が見つからなくて、謝った。


「謝らんでもエエけど…
なぁ、俺が帰ったと思て、寂しかったん？」

ドヤ顔のイッセイが、勝ち誇った様に見えて…

「寂しくなんかありません!!
元々、一人旅なんだから、一人なのが当たり前なの！」

つい、口を尖らせて、ムキになって答える。


尖った私の唇にキスをして、ニッコリ微笑むイッセイが…

静かに私の躰を倒しながら、腕枕をする。


「えっ!?なんで…」

「疲れたやろ？
眠うなったら寝てもかまへんよって、ちょっとだけ…」

そう言って頭を撫でた。