理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
…本当は、早起きして部屋を抜け出そうかとも考えた。


だって、オトナのアソビって、一夜限りの関係のはずだし…

その一夜限りの相手と観光して、3泊も一緒だなんて、どう考えてもおかしいもの。


だけど、3泊もするってことは…

『延長しても良いと思える位には、私のコトを気に入ってくれたのかもしれない』

なんて考えたら、やっぱり離れがたくて。


それに、予想外の心地よい眠りのお陰で、爆睡してしまった私の目を覚ましたのは…

すでに着替えたイッセイの、目覚のキスだったから手遅れだ。


「おはようさん。よう眠れたみたいやな?
支度が済んだら朝食にしよか」

と、ニコニコしながらルームサービスのメニューを手にしたイッセイの前では…

完全にタイミングを逃してしまった。



昨夜脱いだ服をかき集めて、シャワーを浴びに浴室へ向かうと…

「その格好、朝には似合わへんほどセクシーやな」

なんて言いながら、私の腰を引き寄せ、唇を重ねてくる。


それこそ朝には似つかわしくない、濃厚で、絡みつくようなキス。


『また昨夜の余韻スイッチが押されたのかもしれない…』

そう思ってしまうほど、イッセイの唇を求めて、腕を絡みつかせてしまった。


「やっぱり、軽くアヤを食べよかな」

と、ウィンクするイッセイに…

「軽くなら嫌」

と、自分でもビックリするような大胆発言が、口から勝手に飛び出して、恥ずかしくなる。


本当は、イッセイとの昨夜のみたいに…

自分が価値ある存在だって、そう言ってもらってるような気がするほど大切に…

壊れ物でも扱うかのように、優しく丁寧に抱かれたら、もう…

洋介との時のように、ぞんざいなセックスでは抱かれたくなくて…

つい本音がこぼれた。


そんな私の発言を、イッセイは大笑いしながら…

「それは、失礼。

せやな、嫌やんな?
アヤは欲しがりさんやったしな」

と、ニコニコしながら勝手な解釈をして…

私が慌てふためくのを、楽しんでいた。
< 64 / 151 >

この作品をシェア

pagetop