理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「あっつぅ~い」

ホテルを一歩出ると、まだ午前9時半だというのに、うだるような暑さに気持ちが萎える。


三十三間堂を目指して出かける予定だったけれど、この暑さじゃイッセイとの待ち合わせの前に、倒れてしまいそうだ。


マキ先輩の作ってくれた、プランを無駄にするのは忍びないけれど、予定を変更して行けそうな所だけをチョイスするコトにしよう。


そう考えていると丁度、三十三間堂のすぐ近くに『国立博物館』と書かれた案内が目に入る。


「…ココならクーラーが効いてそう」

独り言を呟き、足を進めた。



国立博物館は、レンガ造りの美しいバロック様式の建物で、考古学資料や、美術品が数多く展示されていた。


普段はあまり、そういったコトに興味の無い私だけど…

京都という場所柄なのか、歴史の重みがとても美しく感じられ…

暑さ凌ぎで入ったことなんか忘れるくらい、真剣に魅入っていた。


庭園に出ると、うだるような暑さは続いていたけれど…

テンションも上がってきたし、せっかくだから、三十三間堂にも行ってみようかな…

そう考えて、時間を確認しようと携帯を開くと、まもなく11時を指そうとしていた。
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