+コイン+
「……分かった。でも絶対バラさないで」

拒否権など、最初から無いというのに。
顔を見合せないのは、せめてもの反抗だった。

「よっしゃ。そやからこれからよろしく頼むで、あき!
 でも1つでも俺の命令に従わへんかったらバラすからな。俺がお前の高校生活を預かってる忘れんなや」
「・・・・・・・・・・」
「返事は?」
「……分かってる」
「他に言い方あるやろが」

景色が滲む。
空いっぱいに青空が広がっているはずなのに、
私に見えるのはどんよりした雲一面の世界だ。
雷が鳴り響いて嵐が吹き荒れる。

「……分かりました」
「それでええねん」

私の世界から、色が無くなっていくのが分かった。
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