中指斬残、捌断ち儀
そのうっかりを酔いでも回ったかに済ませようとも、痒そうに右目を包帯上からぼりぼり掻くのであっては、原因はそちらかと思う。
いつもの包帯だが、右目は“手当て”されている。重なったガーゼが右目部分を膨らませて、血が流れるのを圧迫して止めているような。
両の目があってこそ、人間は距離感を正確に掴める。片方が見えていればいいだなんて、右目と左目で見るものの位置がずれているのであればそうも言っていられない。
失明した藤馬さんの右目。そうなった経緯を考えれば、ついあることを言いそうになったが。
「あー、かゆ。出来かけだと疼いてしょうがねぇ」
ムヒでも塗るかなとか言い始めた藤馬さんに、ある疑問ができた。