中指斬残、捌断ち儀
甘えることも恥ずかしいだなんて思えてきた年頃もあってか、僕はあからさまに五十鈴さんを喜んで迎えるということはしなくなった。
僕の笑顔のために訪れるような彼女、無理をしてでも顔を出す五十鈴さんを思って、僕はわざと普通に接するだけとなった。
それを彼女がどう捉えたか――反抗期だとか思うあたりが定石だけど。自立のための自我が形成されている時期と見越して、彼女はあまり来なくなった。
それでも、一週間に一度は顔を出すのは、僕をやはり喜ばせたかったんだと思う。
反抗期ならばまったく構わないではなく、ワンクッション入れたような位置から構う彼女のやり方は思春期若者にとってできた対応だ。
もっとも、僕の五十鈴さんへのワンクッションは彼女へ遠慮した証であるから、論点がずれている。