中指斬残、捌断ち儀
「あるところに一人の少年がいた。この少年というのは出生からして誰にも祝福されない子であった。何故か?それはその子が、正規の夫婦からではなく、父親の不貞行為により――つまりは父親と愛人の間に産まれた子だったから」
「……」
「望まれない子を愛人が産んだのは自身が正妻になりたかったから、“産んだ赤ん坊を正妻へとなる材料(言い訳)として使おうとした”が、結局、男は別れず、むしろ愛人と別れたがった。
そんな愛人だが、赤ん坊の面倒など見る気はさらさらなかったんだろう。“使えない材料に用はないため”、愛人は一人で蒸発し、自然と赤ん坊は父親とその正妻に預けられたが、祝福などされない。
父親は赤ん坊を“愛人が勝手に産んだもの”と見ていたし、母親は“父親が勝手に作ったもの”と見ていた。赤ん坊ではなく、“勝手に出来てしまった物なんか”に愛情なんか湧くはずもなく、その赤ん坊はネグレト――育児放棄を受けた」