中指斬残、捌断ち儀


人間ではない、思念体。憎悪は死んでも残るものであり、生きても死んでも、人の想いは誰かを殺せる。


人を殺すのは凶器ではなく、殺したいと思う意思と殺せる勇気なのだ……は、誰の言葉だったか。


『そんなもんしか見えねえだなんて、中指の奴と同化しつつあんじゃねえのー?“視点が同じになったからこそ、見えねえもんも見えるんだよ”』


呪物の類いを見るようになったのは僕の呪いが関係しているらしいが、これには少し参ったことがある。


見て驚くなんてしないが、“目が合ってしまうとついてくる”。


大概はある程度の距離でどこかに消え去るが、ごく稀に、春夏秋冬の家にまでついてくるものもあった。


呪物のくせに幽霊みたいなことをするんだなと思えど、呪物だからこそ“殺したがっている”。


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