中指斬残、捌断ち儀
「お前の家の電話を借りる。すぐに行くから……痛ぅ」
「無理しないでくださいっ。僕行きますっ、僕が!」
「でも、お前が一番酷い目にあったんだから、ちょっとでも休まなければ」
「それは五十鈴さんだってそうですから……!僕が巻き込んで、そんな」
「阿呆んだら、私が勝手に自ら進んで巻き込まれただけだ。確かに痛いが、お前が無事ならそれでいいよ」
「五十鈴さん……」
本当にこの人は男よりも男前な時があるから困る。僕の立つ瀬がないのを実感してしまうのだけど。
「いいからさっさと、あの変人呼べや、タコ!俺が死んだら、てめえらまとめて祟るぞ、おらあぁ!」
一番に報われない人がここぞとばかりに叫んだ朝方。
いい意味でも悪い意味でも、忘れられない朝になりました。