中指斬残、捌断ち儀
初潮を迎えた女に対して、子ができるやり方しかしていなかったのならば腹が出てくるのは当然であろう。
実を言えば、娘が豚小屋で出産するのはこれが初めてではなかった。
陣痛および出産時における痛みで口走る絶叫を豚の声でぼかし、更には“汚れてもいい場所”を踏まえての豚小屋での子産み。産めば決まって子は要らぬと父は殺しにやって来る。
そのことに娘は何の疑問も思わなかった。貧しい我が家に子一人を養える余裕はないのだからと――そもそも、こんな肉欲処理に使われていることに対して“日常”と思えた娘は何がいけないのかを理解していなかった。
父親の言うことが絶対である。でなければいけない、叩かれる。怒られて叩かれて痛い思いをいっぱいしてしまう。父親は絶対なのだ、間違ってはいない。間違っていたとしたらそれは私なんだから――そう暗示のように言い聞かせた娘は、此度も滞りなく出産を終えた。