中指斬残、捌断ち儀


一、ニ回目は子が産道から抜けるなり気を失ったが、三回目以降からは痛みに慣れて、我が子を抱けるまでのことはできた。


父親が来るまでの間、短い間だけど、自身がしてみせた成果を娘は抱きしめた。


豚の糞と餌の藁で汚れてしまった体を拭く。臍の緒は繋がったまま、まだ一心同体である我が子を抱いた娘は――妙なことに気づいた。


“目が、開いている”


赤子を育てたことがない身では、いつから子の目が開くのかも知らないが、少なくとも今まで、産み落とされたその直後に目を開けたのはこの子が初めてだった。


うっすらではない、出目のようにぱっちりとした眼が己を産み落とした母体の顔をじっと見つめている。


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