勿忘草
あの衝撃的な出逢いの後。
『わたし、市原 詩乃。
高校三年生の17歳なのだ』
『はぁ、』
年上だったのかと驚いたが、口には出さなかった。
『少年よ、名乗られたら名乗るものなのだよ』
『……佐藤 洸。
高校二年生の16歳。』
『わたしの方が年上ではないか!』
やはり詩乃も驚いたらしく、ふふふ、と笑った。
そんな様子を、親父はたまたま見ていたらしい。
要するに親父は、俺が詩乃を好きだと勘違いをしていた。