勿忘草
俺は、春休みなんて課題をやって過ごすつもりだった。
なのに…。
「あっ、洸くんっ!」
病院に行くと必ず、詩乃に会う。
なんという計画的犯行だろう。
三日目まで持って行っていた参考書は、四日目からは持って行かなかった。
どうせ、詩乃が話しかけてくるせいで頭に入らないからだ。
三日目まで一時間だけだったバスの待ち時間は、四日目からは詩乃の母親が仕事を終わらせて来る4時までになった。
帰り際に、詩乃が一人は淋しいと喚くからだ。