勿忘草
将来の夢
ある日の昼下がりのことだった。
* * * * *
詩乃はその日、花壇に咲く花の名前を片っ端から言っていた。
ぶはっと俺が吹くように笑うと、詩乃は睨むようにして見せた。
全く怖くなんかないし、凄みもないから、ますます笑ってしまった。
本当に、こいつは年上なのだろうかといつも疑問にすら思う。
「ひどいではないか、少年」
「はいはい」
「はい、は一回と習わなかったのか」
「はい、詩乃先生」
小柄でふわふわとした印象を持たれそうな詩乃は、だいたい、口調がおかしい。