勿忘草




カルテの整理をしていたら、後ろから話しかけられた。


「宮坂せんせっ!」

同じくらいの年の看護師だ。


「知ってます?
駅前に出来た、新しいカフェ」

「へぇー、知らないですね」


「美味しいって有名ですよ。
このあと一緒に…」

「すみません、今日は用事があるんで失礼します」



最後のカルテを、棚に戻し、俺は病院を出た。


辺りはもう真っ暗だ。


早く行かないと閉まってしまう。





< 29 / 33 >

この作品をシェア

pagetop