マザコン狩り
それは、突然告げられた。


「引っ越しをしましょう。」


二人は驚いた顔で祥子を見る。


実は、祥子はずっと前からこのマンションが三人で住むには、狭すぎると感じていた。


そこで、二人の結婚記念日の祝いもかねて、一軒家を提供しようと考えたのだ。


「なんだかすごく豪華なプレゼントだわ」

「ママありがとォ〜。」


それから引っ越しの準備は、着々と進み、一ヶ月後にマンションを引き払い、三人は引っ越した。


百合は、広いキッチンからリビングを見渡した。


「うん、いい感じ。」


「気に入った?」


「すごい気に入った。」


「良かったわ。」


百合は、ふと窓の外に目をやる。


「あれっ…」


向かいの家の前に止まるワゴン車に見覚えがあった。


「まぁ白いワゴンなんてたくさんあるか」

百合はそう深くは考えなかった。


後に、向かいの家の住人は、姿を消した。
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