マザコン狩り
第二章:悲劇の幕開け
広い室内に、足音が響きわたる。


「新しいお友達。」


そういって女は袋を放り投げた。


投げられた袋の口からは、人の頭が覗いている。


部屋の中には、ガラス張りの、巨大な部屋のようなものがあった。。

敷居があり、片方に男が、もう片方に女が閉じこめられていた。


女は鍵を開けて、袋の中身を放り投げる。

『ウッ』と小さな声を上げて、袋に入っていた男が目を覚ます。


「何だよこれ?お前誰だよ。」


今にも殴りかからんばかりの勢いで怒鳴る男を、女は無表情に見つめる。


「あんた、マザコンなんでしょ?あれが母親?」


女が指さしたのは、ガラスの敷居でできた反対側の部屋にいる女。


「ママ!?お前ママに何かしたらただじゃすまさないぞ。」


女はそんな男を見て、怪しげな笑みを浮かべて去っていった。


「ママ!」


男は必死に母親に呼びかける。


母親も必死に息子に呼びかけるが、もう互いの声は届かない。


「無駄だ。」


声の方を見ると、自分より先につれてこられたであろう男が、うつろな目でこちらを見ていた。


「この部屋に入れられたら、もう声は届かない。逃げることもできない。」


うつろな目の男は、静かに涙を流した。
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