マザコン狩り
四肢が切断された女性に、もう意識はなかった。


「だるまが手には入ったわ。あっこっちの余分な物はあげるわね。」


そういって女が男に向かって投げたのは、切断された手足だった。


「あなた…正気なの…?なんてむごいことを…。」


男はそれを、大事そうに抱えた。


「…俺も好きだよ…君のことが。」


「女の形見を抱いて、死が来るのを待つ事ね。」


男は何も言わなかった。


わかっていたのだろう。


解放する気などないことが。


それを見ていた男女たちの中には、嘔吐するもの、泣き出すもの、暴れ出すものなど、いろんな人間がいた。


翔太は、ただ男の背中を見つめていた。


< 37 / 48 >

この作品をシェア

pagetop