マザコン狩り
第五章:集結
そのころ百合たちは、建物の中へ足を踏み入れていた。


「もしかしたら仲間がいるかもしれない。みんな用心して進むんだ。怪しい場所を見つけたら、すぐに連絡して。」


「わかった。」


「じゃぁ、健闘を祈る。」


みんな散り散りに、建物の中を進む。


百合は、一つの部屋の前で足を止めた。


中からわずかに声が聞こえる。


女が楽しそうに笑う声。


「ここにみんながいるかもしれない。」


百合はすぐに仲間たちに連絡を入れた。


すぐに返信が来る。


『向こうは仲間がいるかもしれない。1人で行かずにそこで待て』


「待ってるけど早くしてよ。」


そう、1人でつぶやく。


百合は、背後の気配に振り向く。


「誰!?」


「あなたは誰?」


見るからに怪しげなその女は、にやにやと笑いながら百合を見る。


「あんたが犯人!?」


百合は女を睨みつける。


「私は呪悪様の下部。あの方のじゃまをする物は、排除する。」


「やれるもんならやってみな。」


百合は身構えた。


女はナイフを振り回す。


「フッ…所詮素人。隙がありすぎるんだよ!」


百合は女の腹に一発打ち込んだ。


女は苦しそうに腹を押さえ、倒れた。


「かわいそうに…イカレた女に洗脳されて、人の心を失ったのね。」


百合はそっと女の髪をかき分ける。


どこにでもいる、かわいい顔立ちをした女だった。


「あなたならまだやり直せる。しっかり罪を償いなさい。」


百合が立ち上がると仲間が駆けつけた。


「百合、なんだこいつ。」


「呪悪の仲間さ。」


「呪悪?」


「黒幕だ。」


百合は扉に手をかけた。


「オットいけない。」

女のポケットを探る。


鍵のような物を発見した。


「美幸弱いから、護身用に持っときな」


そばに転がっていたナイフを、仲間に投げる。


「うっせぇよ。」


美幸はナイフを受け取った。
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