夜兎
⑤ 意識
丸居「ッんだよ…何なんだ!!どうなってんだよ…」
苛立つ紫苑の声に、目の前の佐々木がうっすらと目を覚ます。
そこへ、一人の若い女がやって来た。
丸居「!?」
彼が目を見張るのも無理は無い。
何せ彼女は
この劇団の大ファンである『ルル』だったのだから…。
丸居「ルルさん??何やってんですか?」
訳も分からず、つい質問してしまう紫苑。
「丸居さん、ごめんね。私は今、"ルルさん"ではないんですよ。」
意味が分からない。
丸居「どうゆうことですか?」
美知瑠「私は"美知瑠"。悪いけど、丸居さんの味方にはつけない。」
丸居「はい?」
美知瑠「丸居さん、私の狙いは貴方なの。貴方だけ。でもね 周りのガードが固いもんだから 仕方なく他のメンバーさん達も巻き込ませてもらいました。」
丸居「みちる…さん? あなたは何をする気なんですか。」
美知瑠「まだわかりませんか? …ハァ。私はね、丸居紫苑、貴方を殺しにきたんですよ。」
核心をついた。
丸居「……僕をですか?」
美知瑠「えぇ。」
平然と答える美知瑠。
心の中は平然となんかしちゃいない。
悲しくて 悔しくて 辛くて とてつもない罪悪感に苛まれている。
でも…。でもこれは任務なんだ。
だから 平気な顔で残酷な言葉を吐く。
…。