夜兎
⑧ 指導員棟
13時半。
風呂上がりに食事を済ませた美知瑠は、指導員棟(教育係の忍者達が住む寮)に向かう。
里の筆頭指導員である兄に、昨日の任務について報告をするためだ。
指導員棟の最上階。筆頭指導室(校長室のようなところ)に通されると
さっそく兄が話しかけてきた。
兄「チロル。まぁ座れ。昨日は疲れただろう…。ちゃんと眠れたか?」
美知瑠「うん。まぁね。一応寝れはしたよ。」
兄「そうか。では早速だが、単刀直入に聞こう。 ……今回の任務のメインは、成功したか?」
美知瑠「…!?」
単刀直入過ぎる。少し驚いてしまった美知瑠だが、事後報告はしっかりせねばならない。
美知瑠「…はい。」
兄「憂かない顔だな。ブスになるぞ。」
美知瑠「元々だから良い。ただ…。」
兄「ただ…はいかん。駄目だぞ。報告に感情は持ち込むんじゃない。事実だけを話せ。いいな?辛かっただろうが、それは後で聞いてやるから。」
美知瑠「……うん。」
再び零れそうになる涙を無理矢理飲み込み、顔を上げて話を続ける。