Affair
「――えっ?」

俺は驚いて聞き返した。

「律人のせいじゃないわ」

奈津が俺を見あげた。

「あの人との生活は、最初から壊れていたようなものだったの。

いつも仕事仕事で、2人で過ごした日なんていつだったのか覚えてない。

そのくせたまに帰ってきたと思ったら着替えを取りにきたとか、そんなもの。

私なんか、ただの飾りか性欲処理の道具。

最初の1年は、私も我慢したわ。

議員なんてこんなものだって、何度も言い聞かせてた。

でも……もう我慢できなくなった」

奈津の目から、涙がこぼれた。
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