Affair
「り、律人…!?」

「ケーキだって思った?」

そう聞いてやると、奈津は恥ずかしそうにうなずいた。

「私…初めてだったんだ」

奈津が言った。

「初めて?」

聞き返した俺に、
「誰かの誕生日を祝うのって」

奈津が言った。

やっぱり。

「あの人はいつも忙しくて、誕生日や結婚記念日とかのイベントはいつも1人だった。

ケーキを買ってテレビを見ながら食べてる、そんな感じだった。

私、何やってるんだろみたいな。

祝ってくれる人がいないのにケーキ買って、1人寂しくお祝いなんかして」
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