Affair
中田さんの目が思い出したように潤んだ。

「それが藤森さんと出会ってから、奥様はそれはそれは幸せになって。

ああ、ちゃんと愛せる人を見つけたのだと感じました。

それで2人が永遠に幸せになれるようにと、我々秘書たちが一丸となってつくしたと言う訳でございます」

俺は、涙が出そうになった。

ずっと1人だと、思っていた。

父と離れ、母にも捨てられた時から、俺は1人だった。

みんな俺から離れて行く。

用がなくなったら、使い捨てみたいに俺を捨てる。

捨てられるくらいなら、自分から捨ててやろうと思った。
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