Affair
彼が私を見る。

「お逃げください」

私の顔を見たとたん、彼が言った。

「…えっ?」

ますます訳がわからない。

彼は、
「今すぐ荷物をまとめて、藤森さんがいる空港へ向かってください。

それで、藤森さんと一緒にお逃げください」
と、言った。

「――律人に、会えるの…?」

私の問いに、彼が首を縦に振ってうなずいた。

「たった今先生は出かけました。

さあ、今のうちに早く」

「…はい!」

私は何日かぶりに寝室を出た。
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