Affair
でも、どうでもよかった。

奈津が生きてて会えただけで、それでいい。

「奈津」

俺が名前を呼ぶと、奈津は顔をあげた。

「一緒に逃げよう」

そう言った俺に、
「――逃げ、る…?」

初めて言葉を聞いた言葉だと言うように、奈津は首を傾げた。

「一緒に逃げて、一緒に幸せになろう」

俺はジーンズのポケットからそれを出した。

「死んだ親父の弟からの手紙なんだ。

俺たちが沖縄にくることは、もう知っている」

「――一緒に、いられるの…?」

奈津が言った。
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