Affair
選挙で忙しい時は、夫は3ヶ月近く家を空ける。

たまに帰ってきても、着替えを取りに帰ってきただけ。

最後に夫に抱いてもらえたのは、いつだっただろう。

もうそれすらも、思い出せない。

「――もしあの時…」

私は思い出して、小さな声で呟いた。

もしあの時、お見合いを断っていたら……私は、夢だった保健室の先生として働いていたかも知れない。

高校生の時、クラスの子にいじめられていた私を助けてくれた保健室の先生。

私は彼女のようになりたくて、一生懸命勉強をした。

自分の成績の悪さに苦しみ、何度も補習を受けたこともあった。

その努力のおかげで合格し、ついに免許を手に入れた。

私も保健室の先生になれるんだ!

そう思った矢先に突然お見合いがやってきた。
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