Affair
「えっと……着替えてきます」

私は夫に言うと、彼がいると言う戸惑いを隠しながら寝室へ向かった。

スウェットに着替え、リビングに戻る。

夕食は、夫の大好物のビーフシチューだった。

「一緒に食べるの、久しぶりだな」

椅子に座った私を待っていたと言うように、夫が話しかけてきた。

「…そうですね」

私は呟くような返事をした。

久しぶりの夫との会話は、たったそれだけで終わってしまった。

後は、カチャカチャと言う食器同士が触れあう音が聞こえるだけ。

「仕事はどうだ?」

その音をさえぎるように、夫が質問してきた。
< 38 / 200 >

この作品をシェア

pagetop