Affair
「なれました…」

呟くように答えた私に、
「そうか、なら大丈夫だな。

お前は少しどんくさいところがあるから心配していたんだ。

大丈夫なら心配ないな」

夫が言った。

まるで、警察に尋問されているみたいだ。

久しぶり過ぎる夫の会話は息苦しくて、食事の味もわからなかった。

と言うよりも、夫との会話の仕方を忘れてしまっていた。


食べ終わった食器を洗浄機に任せている間も、夫との会話はなかった。

夫は次の議会のための書類に夢中。

手助けになるはずのテレビも、夫がいる今日はなしだ。

沈黙が痛くて、仕方がない。

リビングから逃げるように、私はバスルームへ向かった。
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