Affair
せっかく手に入れた免許も虚しく、私は大人しく専業主婦として家庭に入ることになってしまった。

食事をするのも寝るのも全てが、1人の結婚生活。

そんな私に手を差し伸べてくれたのは、家政婦の二田カネ(ニタカネ)さんだった。

「私の姪が来年の春から産休に入るの」

そう言って公立高校の養護教諭の仕事を勧めてきたのは、去年の11月のことだった。

その話に、私は働きたいですと言って首を縦に振ってうなずいた。

しかし、私が外で働くことに夫は反対だった。

「僕が稼いでるって言うのに、わざわざ君が働きに出かける必要なんてないだろ?」

何が不満なんだと言うような顔をする夫に、私はお願いしますと何度も頭を下げた。

最後はカネさんの説得もあり、夫は渋々ながらも私が外で働くことを許してくれた。
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