Affair
だって、そんなバカな…。

俺は西川の言葉に耳を疑った。

「私、藤森くんが好きなの…。

本気で、藤森くんが好きなの…」

俺は泣きそうな顔をして震えている彼女を、抱きしめた。

「名前、教えて?」

俺は西川に聞いた。

「西川奈津…」

西川――奈津が自分の名前を言った。

奈津、か。

いい名前だと、俺は思った。

「奈津、好きだ」

噛みしめるように、俺は奈津の名前を言って告白した。

「藤森くん…」

奈津が俺の背中に両手を回した。
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