リズ×望-お前の望むままに-
「あっ、そうだ。電気つけましょ、電気。」

そう言って、体を離そうとしても、リズヴァーンの腕から逃れることは出来ない。

「…先生。」

困ったように呟けば、緩まる力。

ほっとしたのも、つかの間、リズヴァーンの顔は望美の首筋に消えていく。

「せっ、先生…。」

耳から首に唇が移動すれば、そのまま体は傾き、望美はソファーに体を預ける羽目になる。

リズヴァーンの唇が、這うように望美の胸元に向かえば、微かに響く甘い息。

「んっ。」

少しだけ、小さく声が漏れた。

静かに、リズヴァーンの動きが止まる。

「先…生?」

「そのような声を出されては、戯れでは済まなくなってしまう。」

囁かれた言葉は、笑っているようでも、困っているようでもあった。

「…また、からかったんですか?」

「からかいで済ませたいか?」

真っ赤な顔で、怒ったような口調で聞けば、返ってくる言葉は真剣で、望美は戸惑ってしまう。

でも、このまま体を離すのは、少し寂しくて、つい、勢いに流されてみたくなった。

「…からかわれるのは、嫌いです。」

望美は小さく恥ずかしそうに呟き、また自分から唇を合わせた。

リズヴァーンはうれしそうに笑って、望美にキスを落としていく。

次第に、望美がしあわせで満たされていく。

リズヴァーンと共に。


もう、そこに『私』も『あなた』もいない。

ただ、愛し合う二人だけがいる。

杯に浮かぶ満月は、時と共に、その姿を消した。



後書き→
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