リズ×望-お前の望むままに-
情けない顔を向ける望美の髪を、ゆっくりとリズヴァーンが撫でる。

「…恥ずかしいのか?」

「あたりまえです!」

確実に、私たちはそういう関係ですと、言って歩いているようなものだ。

「だが、そう恥じる必要はあるまい。背中の傷は私がお前の所有物だという証だ。」

「へ?」

「お前だけが、つけれるものだろう?」

そう笑顔で言い切るリズヴァーンを、望美は信じられないという目で見つめた。

「そっ、そうですけど…。」

(だからと言って、人に見せていいものではない気がするんだけど…。)

「お前がこれを見せるなと言うならば、私はそれに従うが、決して恥じるべきものではない。」

「そう…ですか?」

「そうだ。」

リズヴァーンにはっきり平然と言われれば、望美はだんだんそんな気になってくる。

(でも…なんか論点がずれてる気がするんだけど…。)

望美が複雑な顔をしていると、リズヴァーンがすっと動いて、耳元に口を近づけた。

「それに、これは、お前が私を求めた証だ。私はうれしく思うが。」

「―――!!!」

艶のある声でそう囁かれ、望美の体温が一気に上がる。

それを確認したのか、微かにリズヴァーンの忍び笑いが耳に届く。

「せっ、先生!からかうのも、いい加減にしてください。」

「からかってなどおらぬ。本心だ。」

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