リズ×望-お前の望むままに-
望美に顔を向けるリズヴァーンは、笑ってはいたものの、その瞳は確かに嬉しそうで。

いたずらじゃないと気付くと、余計恥ずかしくて、望美は視線をあらぬ方向へ向けてしまった。

「お前はこれを着ていることを望むのか?」

試すようにリズヴァーンが、聞いてきた。

望美は一瞬迷ったが、ポツリと小さな声で呟いた。

「…望みます。」

「では、私はそれに従おう。」

リズヴァーンは愉しそうに笑うと、ゆっくり立ち上がり、すっとその大きな手を望美に差し出した。

望美がその手を取って立ち上がると、リズヴァーンが、さっきと同じように複雑そうな顔を見せた。

「どうしました?」

「…次は、二人で来るとしよう。」

苦笑交じりで、リズヴァーンが言うと、望美はまだ火照っている顔で、空色の瞳を覗き込む。

「何故です?」

困ったようなリズヴァーンの視線の先には、花びらが舞っていた。

当然、リズヴァーンが付けたものである。

後れ毛が、微かに汗の掻いている望美の肌について、花びらを引き立てている。

金色の太陽の下、色濃く残る情事の証は、男を呼び寄せるには十分な色香があった。

「お前のその姿は…刺激が強すぎる。」

リズヴァーンにも。
そして、きっと将臣にも。

きょとんとした顔をしている望美が、その意味に気付くのはもう少し先のことだった。



後書き&おまけ→

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