リズ×望-お前の望むままに-
でも、自分ばかりがときめいているようで、…少し悔しい。

「…神子でなくしたのは、誰ですか?」

恥ずかしさで赤くなりながらも、悔しさ紛れにそう呟くと、リズヴァーンが愉しそうに笑った。

「お前がそう望んだのだろう?」

「………。」

そう言われては、望美は黙るしかなかった。

確かに、それが事実なのだから…。

望美は金の髪を離し、リズヴァーンの胸に倒れこむように頭を置いた。

その胸からは、リズヴァーンの鼓動が聞えて、少しだけ慌てていた心が落ち着いていく。

「…その技、誰に習ったんですか?」

少しだけ拗ねたように、望美は呟いた。

「技…とは?」

「なんか、ヒノエくんみたいですよ。やることが。」

甘い言葉と、ドキドキするような振る舞い。

それに翻弄されるのは自分ばかり。

少し、…ずるいと思う。

「…ヒノエ…か。」

リズヴァーンが微かに眉を顰めた。

「ヒノエくんより、高度な技な気がします。」

あまりにも自然すぎて。

「それをお前はどう思うのだ?」

望美が胸からゆっくりと顔を上げると、少し真剣な顔で見つめられた。

「厭うか?」

そう尋ねられ、望美は困ったような顔をした。

「…先生にされるのは…イヤじゃない…です。」

だから、困るの。

いや、ヒノエくんにされても困るんだけど、先生のは…。

…もっと困る。

甘い言葉を、目を見て囁かれると、素直にうれしいって思ってしまうから。

その振る舞いに、もっとと望んでしまいそうになるから。

際限なく、先生を求めてしまいそうになるから。

「…でも、自分がわがままになりそうで…イヤです。」

そんな事を考えてしまう自分が、恥ずかしくて、頬が熱く火照る。

望美はそれを隠すように、ころりと体を転がした。

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