リズ×望-お前の望むままに-
「…私はその瞳に、弱いのだ。」

「瞳…ですか?」

リズヴァーンのなすままになりながらも、困惑気味に望美が聞き返せば、クスリと笑う気配がした。

「そうだ。美しい色をしている。」

「―――!」

思いがけない言葉と、艶のあるその声に、望美の頬が真っ赤に染まる。

「艶を増し、翡翠の色が涙で揺れる。そして…。」

リズヴァーンがそっと体を少しだけ離し、望美の瞳を見つめた。

「私の青が…混ざるのだ…。」

そう言って、近づく端整な顔を望美は目を閉じることなく見つめ続けた。

重なる唇は互いに温かく、絡まる息は熱い。

小さな口付けは、更なる熱を求める。

「…ぁんっ…ん…。」

零れ落ちる吐息が、甘く耳を濡らす。

深く絡められる舌は、溶け合いたいと願うように何度も合わされる。

「…望美…。」

「せん…せっ…。」

求めあう二人が互いの名を呼べば、ゆっくり燃え上がる体の炎を共有しあう。

望美は口付けで、褥に押し付けられるように体制を変えられ、その上にリズヴァーンの熱い体が覆いかぶさる。

…触れ合う体は布を通しても、熱く感じた。

たゆたう快楽に飲まれそうになりながらも、望美はリズヴァーンの髪を掴み、軽く引いた。

「だっ…から…っん…だめぇ…。」

縋るように自分の手を背に回しつつも、裏腹に、望美は熱い体を自分から逸らそうとする。

「…望美…。」

切なく囁かれる言葉は、とろけるような甘さと共に、望美の耳に届く。

「せんせぇ…いまは…。」

小さな言葉は、力もないけれど…。

…それでも音にした。

「お願い…。」

望美は自分の中の炎を必死に内に留め、リズヴァーンに懇願した。

理性と互いへの欲が、見詰め合う二人の視線で交差する。

「………。」

「…先…生…。」

望美の声に、リズヴァーンがゆっくりと未だ熱の含んだ息を吐く。

そして、優しく望美の額に口付けを落とす。

「…お前の、望むままに。」

ゆっくり笑いながら、リズヴァーンが望美を腕から解放する。

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