月と太陽の恋模様
ここは下り坂の途中。
私は自転車を押し、先生は私の隣をゆっくり歩いた。
「優、泣いて良いんだぞ。」
ビクッ…
「悔しかったら泣いて良いんだぞ。」
「別に……悔しくなんか…」
それに私は充分過ぎるほど先輩の前で泣いた。
もう泣くことなんてない。
「俺は優の頑張りを1番見てきた。あんな短時間の涙で足りないだろ?
俺は知ってる。知ってる奴の前では思いっきり泣いて良いんだ。」
ダメだ…
視界が歪んできた…
「泣いて泣いて…思いっきり泣いたら…悔しがれ。そして成長するんだ。」
俯いた私の頭に手をポンと優しく置いてくれた。
先生の手は大きくて温かかった。