月と太陽の恋模様


「ふふっ…優ちゃんらしい。」




えぇ!?




「でも、演奏しててすっごく楽しかったのは覚えています。」




どこをどう間違えたとか、自分の音がどうだったとか全く覚えていないけど……それだけは確かに覚えている。


残っている。


今でも思い出すと手が、胸が、熱くなる。




「そっか………出た、かったな……」




先輩はトランペットを横に置き、目に手を当てて上を向きながら静かに涙を零した。
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