月と太陽の恋模様


「そういうことですか。
…では、月野先生が仲道さんを特別扱いしていると思う人。」




私は目を疑った。




「誰一人として手が挙がらない、ですか。」




「皆、どうしたのよ!?
仲道さんには特別雑用をさせたり、この前なんて手を繋いでいたじゃない!」




「月野先生はプライベートと仕事をきっちり分ける人です。生徒に思わせぶりな態度は取りませんよ。」

「そうだよ、林道先生。この前先生が手を繋いでたって誤解してるのは、先生の雑用を嫌がった仲道さんを無理矢理連行するためだし。」

「仲道さんに雑用が多いのは彼女が先生の出した課題を忘れるからだよ。」

「皆、先生に嫌われたくないから普通はきちんと提出するの。」

「むしろ仲道って先生に嫌われてるよな?」




等々。皆、言いたい放題だった。


口々に騒ぎ出し、やがて何が何だか聞き取れなくなる。
< 658 / 670 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop