月と太陽の恋模様


私は先生に優しく抱きしめられた。




「優…好きだ。」




初めて名前を呼ばれた。


陽崎先生とはまた違う違和感を感じる。


きっとこの違和感が恋の味。




「先生…私も好きです。」



先生の腰に腕をそっと回して顔をうずめる。




「俺の名前、呼んでくれないのか?」




先生の……名前……?




「名前、ですか……」




「呼んでほしい。」




「名前……」




今、気づいた。


私は先生の名前を知らない。
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