Line ~何時ものセリフで~
「俺が知っているのは、麗子が雅人に
凄い惚れて、転職した時めちゃめちゃ
落ち込んでいたけど、その後雅人が
転勤で遠く行くって聞いてアイツ
会社辞めて追っかけて行って、雅人と
結婚したってこと
それから…」

そう言うと諸橋さんは悲し気な表情を
浮かべた

「結婚はしたけど、雅人は仕事ばかりで
麗子は寂しい思いをしてた…

雅人が言っていたんだ
仕事、仕事で全然家のことなんて、
麗子の気持ちなんて考えてなかったって
全部自分のせいだって…」

そして、うつむいて微かに震える声で言った

「自殺を図ったんだ」


「風呂場で手首を切っていたらしい…
テーブルに『ごめんなさい』と書かれた
紙が置かれていたって

幸い一命はとりとめて、体の方は回復
したのに意識が戻らないまま、
身寄りのない麗子をずっとアイツは
家で看ている

自分を責め続けながら…」
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