七物語
「……山小屋へ案内してください…行きましょう…!」
気持ちが少し落ち着いたのか、10分ほどで夫は氷山に無理矢理の笑顔を浮かべながらその場を去ることに決めた。
「……はい…。」
寒くて白く変わらない景色の中を5人が何も喋らず歩く。
凍りそうな足を何度もムチ打って進み、ようやく小屋に辿り着いた。
「……小屋だ…!」
若い男が丸い目をして大きな声をあげると他の3人の表情にも活気が見え始めた。
まだ火は燃え続けていたため部屋は暖かい。
「…暖かい……!」
「………生き返る~!」
「…ふぅ…」
1人で登山に来た女性も小さく溜め息をすると皆と一緒に暖炉を囲んだ。
炎に照らされた彼女はとても美しかった…
「………?」
「…あっ…!」
キョトンとした目と合い、思わず目をそらす。
特に着飾ってもいない…
少し長いストレートの髪…痩せすぎでも太りすぎでもないキレイな体型…肌も柔らかな色一色で染まっている…
何もかも理想通りだった…